松下村塾 安政三年(1856)〜五年(1858)

  嘉永六年(1853)ペルー来航のとき、吉田松陰のアメリカ渡航の願いが拒否された。松陰らは国禁を破った罪人として、四月から十月まで江戸伝馬町の獄に収容された。さらに長州に身柄を移され、翌二年十二月まで萩の野山はに投獄されている。
 出獄後は、松本村にある実家の杉家で幽因という処分となったが、やがて松陰は八畳一間の幽室で、親類や近隣の者に村して学問の講義を始めた。安政三年(1856)半ばになると聴講生も増え、狭い幽室は一つの学塾のような場所になった。これが松下村塾である。名称は叔父の玉木文之進が開いていた塾のを流用した。安政五年(1858)三月は十畳半に増築されている。
 その教育方法は変わっていて、希望すれば誰でも入塾でき、出欠席は自由、授業料は不要で、決められた教科書もなかった。講義は「孟子」「武教全書」「日本外史」などを中心に行われたが、出席者の顔ぶれに応じて授業内容は柔軟に変更された。
 しかし松陰は安政五年十二月に再び野山獄に収監され、老中間部詮勝暗殺未遂の容疑で、翌六年十月二十七日、護送された江戸伝馬町の獄で処刑されてしまう。松陰が塾で教授できたのは、わずか二年余の短期間でしかなった。
 高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤俊輔らの若者たちらが育って維新を実現していく。

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