池田屋事件 元治元年(1864)六月五日

  八・一八政変で京都から追い落とされた尊攘派は、元始元年(1864)に入ると、反撃を開始した。宮部(熊本)、北添(土佐)らの志士が、ひそかに京都に潜伏し、挙兵の計画をくわだてていたのだ。
 その計画とは、烈風の夜を選んで御所の風上に火を放ち、その混乱に乗じて公武合体派の中川宮を幽閉し、京都守護職の松平容保を殺害したのち、天皇を長州へ連れ去ろうというものだった。
 しかし、この動きを新撰組が察知した。六月五日、陰謀を知った新撰組は、市中に潜伏する志士の一網打尽にするために一斉捜索に乗り出した。同日午後七時に出動した新撰組34人は、局長近藤勇以下10人が鴨川西、副長土方歳三以下24人が鴨川東というように分担して取り調べを行った。午後十時になって近藤隊が発見したのが三条小橋西の旅宿池田屋だった。
 二階奥の座敷には20人ほどの志士が結集していたところへ、近藤らが斬り込んだ。苦戦が続く中、途中で土方隊が到着し、戦況が一変。応援の諸藩兵も三千人もやってきて池田屋を取り囲んだ。
 以後は、斬り捨てから捕縛へと方針が変更され、池田屋の戦闘は、ようやくのことで決着がついた。新選組の命がけの働きによって、御所焼き打ちという陰謀は未然に防がれ、京都は守られた。
 この池田屋事件で多くの志士を失い、尊攘派の大きな打撃を受けた。長州藩の吉田稔麿ら13名が死亡。20余が捕縛された。

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