Robert Wyatt
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Rock Bottom(ロック・ボトム) (1974) ☆☆

Rock Bottom 1.Sea Song(シー・ソング)
2.A Last Straw(ア・ラスト・ストロー)
3.Little Red Riding Hood Hit The Road(リトル・レッド・ライディング・フッド・ヒット・ザ・ロード)
4.Alifib
5.Alife
6.Little Red Robin Hood Hit The Road(リトル・レッド・ロビン・フッド・ヒット・ザ・ロード)

Robert Wyatt (Vocals, Keyboards, James' Drums)
Richard Sinclair (Bass guitar)
Laurie Allen (Drums)
Hugh Hopper (Bass guitar)
Ivor Cutler (Vocals)
Mongezi Feza (Trumpet)
Alfreda Benge (Vocals)
Gary Windo (Bass clarinet,Tenor sax)
Fred Frith (Viola, Piano)
Mike Oldfield (Guitar)
 落下事故後に発表された再デビュー作とも言うべき作品。ドラマーの道をたたれ、ヴォーカリストとしての新しい道へ進むことなる新生面を示した意欲作。ピンク・フロイドのニック・メイスンがプロデュース。他にもリチャード・シンクレアやヘンリー・カウのフレッド・フリス、マイク・オールドフィールドも参加した傑作。
 1曲目の〈Sea Song〉は多数のアーティストにカヴァーされた名曲。静けさの中にワイアットの力強いヴァーカルが印象的。2曲目の〈A Last Straw〉は不協和音を取り入れながら薄暗い雰囲気を漂わす。3曲目の〈Little Red Riding Hood Hit The Road〉では複雑な構造をもったシンフォニックな作品で好きだ。4曲目の〈Alifib〉と続けての5曲目〉Alife〉は対になっている妻アルフィーに捧げた作品。サイケ的な要素が強いサウンドで、哀愁漂うワイアットのヴォーカルが響く楽曲。

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Nothing Can Stop Us (1981, Singles compilation; 1983 Australian edition includes "Shipbuilding")(ナッシング・キャン・ストップ・アス・ナウ) (1982) ☆☆

Nothing Can Stop Us 1.Born Again Cretin(ボーン・アゲイン・クレチン)
2.At Last I Am Free(アット・ラスト・アイ・アム・フリー)
3.Caimanera(カイマネラ)
4.Grass(グラス)
5.Stalin Wasn't Stallin'(スターリン・ワズント・ストーリン)
6.Red Flag(レッド・フラッグ)
7.Strange Fruit(ストレンジ・フルーツ)
8.Arauco(アラウコ)
9.Trade Union(トレード・ユニオン)
10.Stalingrad(スターリングラード)

 長期の沈黙期間後に発表されたラフ・トレードからの4枚のシングルを中心に編纂された。短波放送を通じて耳にした世界各地の音楽をワイアット流に再解釈する試みを、「民衆の歌(フォーク・ソング)」として4枚のシングル・シリーズとして発表することになった。80年3月に〈Arauco/Caimanera〉、80年11月に〈At Last I Am Free/Strange Fruit〉、81年2月に〈Stalin Wasn't Stallin'/Stalingrad〉、81年8月に〈Grass/Trade Union〉。これに2曲の新曲を加えてまとめてリリースされたのが本作品。
 新曲の1曲目〈Born Again Cretin〉はユーモラスな本作唯一のワイアットのオリジナル。他は全てカヴァー。6曲目の〈Red Flag〉はクリスマス・ソングをアレンジしたもの。2曲目の〈At Last I Am Free〉は、歌詞のフレーズである「遂に私は自由になる」に触発されてカヴァーした楽曲。3曲目の〈Caimanera〉はラテン風のサウンドを聴かせる。6曲目の〈Red Flag〉はワイアット独特のウィットに富んだナンバー。7曲目の〈Strange Fruit〉はビリー・ホリデーで有名な曲で、人種差別をテーマにした悲しい楽曲。10曲目の〈Stalingrad〉ではピーター・ブラックマンが自身の作品を朗読しており、とても印象的。全体的に派手さはなく、むしろ淡々としている。政治・社会への強いメッセージが色濃く表れている。

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Old Rottenhat(オールド・ロットンハット) (1985) ☆

Old Rottenhat 1.Alliance(同盟)
2.Us Of Amnesia(建忘合衆国)
3.East Timor(イースト・チモール)
4.Speechless(スピーチレス)
5.The Age Of Self(ジ・エイジ・オブ・セルフ)
6.Vandalusia(略奪王国)
7.The British Road(ザ・ブリティッシュ・ロード)
8.Mass Medium(マス・ミディアム)
9.Gharbzadegi(ガーブザデキ)
10.P.L.A.

 ラフ・トレード第3作目。レコーディングではキーボード、パーカッションといった僅かな楽器のみでフィーチャーし、全パートがワイアットの演奏。全体的に政治的メッセージを声高に叫ぶのでなく、静かに、低く、美しく歌いかけているのが魅力だ。
 3曲目の〈 East Timor〉はインドネシアの東チモール独立を扱った楽曲。10曲目の〈P.L.A.〉では、妻アルフィーに対する優しい心が伝わるナンバー。

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Dondestan (ドンデスタン) (1991)

Dondestan 1.Costa(コスタ)
2.The Sight of the Wind(サイト・オブ・ザ・ウインド)
3.Catholic Architecture(カソリック・アーキテクチャー)
4.Worship(ワーシップ)
5.Shrinkrap(シュリンクラップ)
6.CP Jeebies(CPジービーズ)
7.Left on Man(リスプ・サーヴィス)
8.Lisp Service (レフト・オン・マン)
9.N.I.O.(New Information Order)(ニュー・インフォーメーション・オーダー)
10.Dondestan (ドンデスタン)

 10年ぶりとなったアルバム。1986年秋から半年間のスペイン滞在中に、妻のアルフィーが書き留めた詩に曲をつけたものをA面とし、B面をワイアットのオリジナルとして作成されたコラボレーション作品。全体的に派手はさく、淡々と静かな雰囲気のアルバム。またジャケットは、アルフィーがスペインでの観光シーズンから外れた大海岸沿いの部屋から見たビーチの風景を描いたもの。
 3曲目の〈Catholic Architecture〉は厳粛で静寂な雰囲気の中でワイアットのヴァーカルが印象的なナンバー。6曲目の〈CP Jeebies〉は共産党脱退を宣言したユニークな楽曲。10曲目でアップテンポのタイトル曲の〈Dondestan〉は国土を持つことが許されなず迫害を受けているクルド族やパレスチナ人のことが歌われている。曲の後半では一転して暗い静かな終わり方をする。

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Shleep(シュリープ) (1997)

Shleep 1.Heaps Of Sheeps(ヒープス・オブ・シープス)
2.The Duchess(ザ・ダッチス)
3.Maryan(マリアン)
4.Was A Friend(ウォズ・ア・フレンド)
5.Free Will And Testament(フリー・ウィル・アンド・テスタメント)
6.September The Ninth(セプテンバー・ザ・ナインス)
7.Alien(エイリアン)
8.Out Of Season(アウト・オブ・シーズン)
9.A Sunday In Madrid(サンデイ・イン・マドリッド)
10.Blues In Bob Minor(ブルース・イン・ボブ・マイナー)
11.The Whole Point Of No Return(ザ・ホール・ポイント・オブ・ノー・リターン)
【Bonus Track】
12.September In The Rain(セプテンバー・イン・ザ・レイン)

Robert Wyatt(Vocals, Keyboards, Bass, Percussion, Polish fiddle, Trumpet)
Brian Eno (Synthesizer, Backing vocals, Synth bass)
Jamie Johnson (Guitar)
Evan Parker (Soprano sax, Tenor sax)
Philip Catherine (Guitar)
Chikako Sato (Violin)
Chucho Merchan (Double bass, Percussion, Bass, Bass drum)
Alfreda Benge (Voice of the apparition)
Paul Weller (Guitar, Acoustic guitar, Backing vocals)
Annie Whitehead (Trombone)
Phil Manzanera (Guitar)
Gary Adzukx (Djembe)
Jamie Johnson, Alfreda Benge, Charles Rees (Chorus)
 イーノやウェラーなどのアーティストが多数参加し話題となった。集大成のような性格を帯びポップ、アヴァンギャルドなセンスが発揮された作品。また、メルヘン的な美しさのジャケット・アートも評価された。
 1曲目の〈Heaps Of Sheeps〉は陽気なノリの良いポップな楽曲。2曲目の〈The Duchess〉はユーモラスで自由な発想の作品。3曲目の〈Maryan〉は静かで牧歌的な感じの楽曲。4曲目の〈Was A Friend〉では徐々に白熱した演奏に展開する。5曲目の〈Free Will And Testament〉も牧歌的な感じで、たんたんと語るようなヴォーカルが特徴。6曲目の〈September The Ninth〉はジャズ的要素が強い作品。10曲目の〈Blues In Bob Minor〉はウェスタン的な要素もありユニークなナンバー。11曲目の〈The Whole Point Of No Return〉はインストルメンタル。

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Cuckooland(クークー・ランド) (2003) ☆☆

Cuckooland 【Disc 1】
1.Just A Bit(ジャスト・ア・ビット)
2.Old Europe(オールド・ヨーロッパ)
3.Tom Hay's Fox(トム・ヘイズ・フォックス)
4.Forest(フォレスト)
5.Beware(ビウェア)
6.Cuckoo Madame(クックーマダム)
7.Raining In My Heart(レイニング・イン・マイ・ハート)
8.Lullaby For Hamza(ララバイ・フォー・ハムザ)
9.Trickle Down(トリックル・ダウン)
10.Insensatez(インセンサテス)
11.Mister E(ミスター・E)
12.Lullaloop(ララループ)
13.Life Is Sheep(ライフ・イズ・シープ)
14.Foreign Accents(フォーリン・アクセンツ)
15.Brian The Fox(ブライアン・ザ・フォックス)
16.La Ahada Yalam(ラ・アハダ・ヤラム)
【Disc 2】
1.La Cancion de Julieta(ラ・カンシオン・デ・ジュリエッタ)

Robert Wyatt (vocals, keyboards, cornet, percussion, trumpet)
Brian Eno (last note (on 3))
Jamie Johnson (bass)
Alfreda Benge (voice of Lullaloop)
Paul Weller (guitar, acoustic guitar, backing vocals)
Annie Whitehead (trombone)
Phil Manzanera (voice)
David Gilmour (guitar)
 ディヴィッド・ギルモアやイーノの他、英国ジャズ・ミュージシャンとで作成され、ウィットと実験性、政治的スタンスとポップさが融合された作品
 1曲目の〈Just A Bit〉は叙情性な雰囲気が漂うナンバーで好きだ。2曲目の〈Old Europe〉はウィットに富んだ楽曲。3曲目の〈Tom Hay's Fox〉ではキーボードとトランペットが大胆にフィーチャーされた実験的な作品。9曲目の〈Trickle Down〉、10曲目の〈Insensatez〉はインスルメンタル。13曲目の〈Life Is Sheep〉は哀愁漂うプログレ的なナンバー。14曲目の〈Foreign Accents〉はヒロシマ、ナガサキ、アリガトウなどの日本語を繰り返される印象的なナンバー。15曲目の〈Brian The Fox〉はヴォーカルがエフェクトされ、ほのぼのとしたメルヘン的な雰囲気の作品。16曲目の〈La Ahada Yalam〉はインストルメンタルでアコースティック・ギターがフィーチャーされてる。Disc2の〈La Cancion de Julieta〉は実験的なナンバーで、自由な発想で表現されたプログレらしい楽曲で好きだ。

▲UP

His Greatest Misses(ベスト・オブ・ロバート・ワイアット~ロバート・ワイアット30年の軌跡)(2004) ☆☆

His Greatest Misses 1.P.L.A.
2.Worship(ワーシップ)
3.Heaps of Sheeps(ヒープス・オブ・シープス)
4.Free Will And Testament(フリー・ウィル・アンド・テスタメント)
5.I’m A Believer(アイム・ア・ビリーヴァー)
6.Sea Song(シー・ソング)
7.Little Red Robin Hood Hit The Road(リトル・レッド・ロビン・フッド・ヒット・ザ・ロード)
8.Solar Flares(ソーラー・フレアーズ)
9.At Last I Am Free(アット・ラスト・アイ・アム・フリー)
10.Arauco(アラウコ)
11.The Age Of Self(ジ・エイジ・オブ・セルフ)
12.Alien(エイリアン)
13.Shipbuilding(シップビルディング)
14.Memories Of You(メモリーズ・オブ・ユー)
15.Muddy Mouse (b)(マディ・ハウス(b))
16.Mister E(ミスターE)
17.Foreign Accents(フォーリン・アクセンツ)

 1974年のソロ第1作『Rock Bottom』から2003年『Cuckooland』まで、ソロ活動30年の歴史の中からヴォーカリストとしてのワイアットの「歌」に主眼を置いて選曲されている。現在入手困難になっている〈I'm A Believe〉、〈Shipbuilding〉も収録されており、初心者向け。

▲UP

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