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○出版社/致知出版社 ○1997年12月
○時代/江戸期
○目次
第1章 "改革の時代"が求めた人材
天保の改革という時代背景/「日本人精神の作興」こそ改革の目的/現代に蘇った「日本人の心の美しさ」/人間の心を荒廃させた元禄バブル/なぜ、一農民が登用されたのか/バブルで崩壊した価値観の再生を目指す/「土の中には徳が潜んでいる」/藩をあげての反対にあった金次郎の登用/全財産をもって家族あげて移住した金次郎/忠臣を見捨てた水野忠邦の「青雲の志」/「野に遺賢あり」のその理由/清い社会を作るために汚れるという覚悟/改革者たちと共通する金次郎の理念/金次郎の哲学「積小為大」「風呂の湯」の教え/武士には求められない人材/心の赤字を克服する「勤苦」「推譲」/金次郎の父、ホトケの利右衛門/ワラジを編んで得た一日一合の酒/第二章 "金次郎哲学"の原点/金次郎の"合理性"の原点/独特の哲学を作り上げた読書法/「貧乏は悪である」という価値観/経済の底に人間の道を捉えるという哲学/"天の力に逆らう力"がパワーの源泉/帰納法と演繹法の合体で得た理論体系/「分権」「分度」を求めて突き当たった矛盾/言説は行動で実証する/女子どもだけの家族で成功した最初の実験/水たまりの田からとれた一俵の米/「分度」「勤苦」「推譲」を柱とする「報徳仕法」/「人生意気に感ず」の心情をもっていた金次郎/大塩平八郎と金次郎の違い/「危険な思想家」、大塩平八郎/六歳年下の平八郎が起こした反乱/徹底して農に生きる立場を守り抜いた金次郎/農民にとっての名君とは?/第三章 人道は勤めるを尊しとする/大久保忠真の指示に躊躇する重役たち/常に改革に立ちはだかる三つの壁/殿様の召命を断った金次郎の論理/「権限と責任」に対する厳しい姿勢/「立場と面目」対「命懸けの努力」の勝負/再度の使者を送った忠真の悲痛な思い/"目前主義"というプライオリティー/金次郎と忠真の間の「あうん」の呼吸/目前の大事を阻む頑迷な官僚主義/きいていない、知らないという責任回避/重役に切腹を迫った金次郎の気迫/徳川幕府の屋台骨を揺るがせた事件/金次郎ヒューマニズムの淵源「忍びざるのこころ」/孟子につながる金次郎の孤独感/「恒産なければ恒心なし」を実現する七つの欲求/荀子、孟子、金次郎に共通する真理/金次郎の「天道と人道」と通い合うもの/農民金次郎ならではの思想形成/人道は勤めるを尊しとする/徹底した現実主義・経験主義から出た思想/机上の学問は役に立たない/利益の損得ではなく、義をもって利益とす/第四章 金次郎思想の背景を探る/多くの人が愛する存在としての金次郎/明治維新へ向けて動き出した時代の思想/通りすがりの老婆におぼえた深い感動/安藤昌益の「聖人批判」と通じるもの/「高度の自然の世」を目指した安藤昌益/昌益の『自然真営道』 に著された思想/<根元的実在>の営為の統一原理/農業こそ大本であるという金次郎の思想/治者のあり方を説いた『貞観政要』/金次郎のコミュケーションへの情熱/素直に受け入れた曽子の『中庸』/摂取すべきものと、排除すべきもの/第五章 現代に蘇る二宮金次郎/地域における生きがいと死にがいの創出/真のユートピア実現の条件/金次郎精神を表す「三助方式」真面目に働けば評価されるという生きがい/金次郎の"勤苦の精神"を現代へ/もっと相手を愛し、徳を掘り起こそうとしてみたが/問題児たちが心を開かない理由/「一期一会」とは、三通りの人に出会うこと/歴史上の人物を、今どう評価するのか/現代人が歴史上の偉人を殺してしまう危険/歴史人物を私物化してはならない/日本人の持つ美しい心の再発見/二宮金次郎を現代の実生活に生かす/農民と共に、土と共に生きた金次郎 |