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<本文から> わたしは年を重ね、経験を積むたびに、歴史上の人物をいままでとは違った角度から見るようになったと書いた。これからも、生きている限り人物や事件を見る目は変わっていくだろう。
これは歴史に対する人間の一種の宿業と言ってよく、あるいは歴史における「法則」のようなものかもしれない。だから、若い時には感動して褒め称えていたような人物を、欠点を感じて今度は逆に批判するようことになるかもしれない。
この本でも、わたしのこれまでの本で何度か書いてきた歴史上の人物を取りあげているが、その見方、評価はこれまでの本とは変化しているものもある。
これは、見る側(わたし)の歴史に対する変節ではない。歴史上の人物や事件が、もともとそういう性格を持っているのだ。それを若い頃には発見できなかったに過ぎない。
これからも、信長や龍馬や西郷などに対して、いまとは全く違った見方を書くことになるかもしれない。 |
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