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<本文から> 程度の差はあるにせよ、どこの職場にもわがままで身勝手な、公私混同に陥りやすい人間がいる。部・課長はそれをただ表面的に見て判断したり、感情的になったり、まわりの意見に流されたりせず、冷静に判断する目を日頃から養っておく必要がある。
奥州の戦国武将伊達政宗は、
「上に立つ者にとってなにより肝要なことは、部下の得手不得手をよく見分け、その人間にあった用事を申し付けることだ」
と語っている。誰もが自分の得意な分野の仕事となれば、一所懸命になる。いきおい仕事もはかどり、上が思っていた以上の働きを遂げることもしばしばである。そうなれば他に恨みを抱く人間もなくなり、自分の能力を発揮できる場を作ってもらえたことで秘められたた力を発揮する。さらにすすんでそれを高めようと努力する。
だから上に立つ者が犯してはならないことは、
「たいした仕事も与えないで部下の能力を見限り、先入観を持ってその部下を切り捨ててしまったりすることだ」
とも言っている。
「人間には生まれついたときから優れている、劣っているといった区別はなく、それぞれなにかしら秀でたものを持っている。貴重な人材をよく見分けもしないで使い捨てにして、組織を駄目にしてしまうのは、最も愚かな所業である」
と政宗は語る。部下を見る目と能力の巧みな活用こそが、上に立つ者の重要な責務であると強調している。
また、甲斐の武田信玄は、
「人間は自分がしたいと思うことをしないで、嫌だと思うことをすれば、身を保つことができる」
「学というのは書物を読むだけを言うのではなく、それぞれの道について学ぶことを言う。武士たる者は常に武功のある者に近づいて、武功談(実際の経験談)に耳を傾けることだ」
と語っているが、こうした考え方もあることを、機を見て部下に伝えるのも、必要なことであろう。 |
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