|
<本文から>
こういう光景を、毛利元就は黙って見詰めていた。このころのかれは、まだ存命中だった大方様から、
「身内をお固めなさい」
と助言されていた。大方様のいうには、
・毛利家を軸にした大きな森を造ること。
・その森は、毛利という大木を中心にすること。
・しかし、毛利が大木になるためには、身内の結束が必要なこと。
・毛利という大木ができたら、回りに生えている木を、”毛利の森”に加わるように仕向けること。周りの木というのは、いうまでもなく地侍・国人衆であること。
・しかしいままでのありさまを見ていると、毛利家も一本の地域の木なので、まだまだ″毛利の森”に参加させるだけの魅力が、毛利家にない。
・″毛利の森”に参加していれば、自分の持っている土地や住民が安堵される、という保証能力を養う必要がある。
・そのためには、毛利という木が、他の木よりも抜きんでて大木にならなければ駄目だ。
・毛利が大木になるためには、幹を太く達しくし、同時に枝葉も強く達しく育つ必要がある。
この助言は、毛利元就にまた新しい発想を生ませた。
|
|