|
<本文から>
「伯父上は、一体何のためにそういうお仕事をなさっているのですか?」
ある日光圀がきいた。義直は答えた。
「歴史はつねに正しくあらねはならぬ。後他には、間違ったことを信えてはならない。その手掛りが、神社仏間の由緒だ。神社仏閣は、万人が崇敬の念をもって接する。その寺や社の由緒に誤りがあっては、そこに祀られた神仏に対し申しわけがない。同時に、詣でる真面目な信者に対しても、偽りを告げることになる。これは誰かが改めなければならない」
この言葉に、光圀はひどく打たれた。
<伯父は、そういうつもりで日本の神社仏閣の由緒を改めていたのか> |
|