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<本文から>
「心の変化」
を促すときのモチベーション(動機づけ)は、非常に鮮明で輝くばかりだ。普通の人間は真似ができない。つまり、かれの、
「事象を受け止める心の鏡」
は、非常に優れた素材でつくられている。あるいは頭の構造を成り立たせている部品も優秀だ。この頭脳と心の鏡とによって、かれは明確に、
「起こった事象の本体を見抜く」
という特性を持っていた。そうなると、いましきりに努力していることも、たちまちほってしまう。
「こんなことをやっているときではない。もっと大事なことがある」
と、心のギアチェンジ行なってしまうのだ。こういう拘りのない、
「新しく起こった事象に的確に対応する姿勢」
というのは、房五郎独特のものであって、当時の同時代人には発見しにくい。多くの志士と呼ばれた連中にも必らず、
「拘りやしきたり」
があった。その点、房五郎には全くその気配がない。これは天性のかれの資質だ。 |
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