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<本文から> 「それに対し、一朝事ある時は鎌倉に駆けつけて、御奉公する」
ということだ。顎足自分持ちで軍役に服すということだ。これがすなわち、”いざ鎌倉"である。そしてこの
”いざ鎌倉″を支えたのが、
「一所懸命」
の思想だ。一所というのはもともと土地のことだ。
「一坪でも所有地を増やしたい。自分の土地を奪おうとする奴とは命懸けで争う」
というのがこの考え方だ。鎌倉時代の武士たちが、
「至上の財産」
と考えたのは、あくまでも土地である。もちろん土地だけ貰っても仕方がない。土地を与えるということは、そこに住む農民をも一緒に与えるということだ。つまり、
「土地と農民の支配権」
が知行だ。この知行の拡大を求めて、鎌倉時代の武士たちは必死になった0したがって、欲望のすべてが土地にあり、争いというのは、
「土地保有の争い」
である。もちろんこの当時の武士たちには、学問とか教養とかはそれほどなかったから、ただひたむきに、
「土地への愛着・執着」
だけが、かれらの生き甲斐だったのである0そうなると、これらを束ねる立場にあるものは、当然、
「全国武士の土地への執着心を、いかに満たして行くか」
ということが、いわば、
「日本の武士管理の基礎的要件」
になる。
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