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<本文から>
さて、今、なぜ西郷かということを整理してみる。
一つは、彼が世紀末の苦悩を身をもって体験し、その解決策のために努力して生き抜いたということだ。もう一つは、あらゆるトレンドからけっして逃げなかったということである。正面から必ず立ち向かった。
その立ち向か心方にもいくつかの方法があった。たとえば、雪国では、人が雪に立ち向かう場合、次のような三つの方法があるといわれている。一つは雪に克つ、すなわち克雪。もう一つは雪と和す、すなわち和雪。もう一つは、雪を利する、すなわち利雪。この三つの方法だ。
西郷の生き方を見ていると、この克雪、和雪、利雪の三つがうまく取り込まれていて、状況状況に応じてこれを実にうまく活用していたといえる。だからこそ彼は、殺されかかったり、あるいは死にかけたりしても、また蘇って、パワーを再生し、見事に生き抜いていった。しかし彼は、生き返ったときには、もう昔の西郷ではなかった。勝てなかった雪に対して、これと仲よくしようといタような和雪の方法をとったり、あるいは雪から利益を得ようというように、雪を払み敷いて逆に雪の含んでいる活用部分をうまく取り出すことによって利雪の方法をとった。われわれが西郷から学はねはならぬのは、このユニークなリーダーシップだ。
いってみれば、彼のとった方法というのは、今よくいわれるリストラクチュアリソグではないかと思う。 |
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