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<本文から> 林沖の提言とは、こうであった。
「人には天性おのずから器というものが備わっている。林沖は器にあらず。晃蓋どのこそ人の上に立つべきお人だ。晃君を以て今日より山寮の首長に仰ぎたいと思います。ご一同にも、ぜひご賛成ねがいたい」
「いけません、いけません」
晃蓋は手を撮って固辞した。 そんな弼ではないと、再三再四断ッたが、すでに満堂一せいの拍手だったから、林沖はすばやく、
「では、諸兄にもご異存はありませんな。晃頭目、衆議の決ですぞ」
とばかり、彼の手を取って、正座の一番椅子に据え、その前に香炉台を置き、王倫の兜巾を外して、見蓋の頂に冠せた。
「いざ呉用先生。先生は軍師として、第二席にお着きください」
「とんでもない。わしは根ッからの寺小屋師匠、孫呉の智識など思いもつかん」
「ご遠慮は無頂いく先生がそう仰っしゃると、あとが困ります。 第三は、道士孫勝どの、先生の帷幕を助くる副将として、ご着位のほどを」
「それやいかん。林沖どの、あなたこそ、その位置に」
これは一同で薦めたのだが、林沖はなお譲ッて四番日の座を取った。
五位には劉唐、六位に院小二、七位に小五、八位に小七。− それから杜選は九位にすわり、宋万は十位、失費が十一位と順位はきまって、ここに新選梁山泊の主脳改組もできあがった。 |
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