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<本文から> −夜光の短刀の捜索が、ようやく、その曙光を見出して来るとともに、日本左衛門中心の一味にとって、事ごとに邪魔になるものは、その短刀を廻ッて同じ猟奇心に動く人間と、その秘密を一層世間へ流布するおそれのある人間の存在です。
そこで、彼の果断は残忍をいとわぬ事になって来ました。すなわち、自分を別にして、手下の者を五ツの組に分け、数えあげたその邪魔ものを、疾風迅雷に手分けをして刈り尽くそうという考え。
そこで、各ゝが引当てた「暗殺の籤」の結果は?
紙縒の端を順にひろげて見ました上、役割はこうと極まりました。
雲霧の仁三の組………徳川万太郎を暗殺する。
尺取の十太郎の組……目明しの打勘を暗殺する。
千束の稲吉の組………丹頂のお粂を暗殺する。
四ツ目星の新助の組…道中師の伊兵衛と馬春堂の二人を暗殺する。
秦野屋九兵衛の組……相良金吾を暗殺する。
そして最後に親引きとして残った日本左衛門の簸は、もう見るまでもありません。−切支丹屋敷のお蝶。 |
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